代表理事挨拶秋葉都子
暮らしは、地域により、人により、その文化により、それぞれであり、時代と共に変化もしていきます。朝食は「味噌汁・白米・漬物・納豆」から、「シリアル・果物・ジュース」という高齢者もこれからは増えてくると思います。未曾有のコロナ感染もあり、社会構造や価値観も多様化してきました。そして、その変化は速く、それぞれに深化もしています。暮らしを支える介護だからこそ、画一的な建物やケアの在り方ではなく、専門家の適宜な対応として、個性、風土の織りなす暮らしを大事にした介護の在り方(多様性)が求められていると思います。
私たち高齢者福祉に携わる者は、その表現形はそれぞれにあるとしても、「高齢者の尊厳を支えるケア」を理念とすることは、いかなる場でも時代でも不変です。
私は、ユニット型施設・ユニットケアの創始者「故外山義京都大学大学院教授」先生より、ユニット型施設の創世記にモデル施設の施設長としてそのことを教えていただきました。その後、社会福祉法人浴風会認知症介護研究・研修東京センターと一般社団法人日本ユニットケア推進センターで、ユニットケアの普及に、ユニットケア研修等に努めてまいりました。(実績は下記の図の通り)
研修実績(受講者数)
2003 | 2004 | 2005 | 2006 | 2007 | 2008 | 2009 | 2010 | 2011 | 2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
管理者研修 | 207 | 269 | 292 | 298 | 447 | 443 | 384 | 358 | 377 | 590 | 585 | 526 | 464 | 417 | 462 | 358 | 303 | 6,780 |
リーダー研修 | 189 | 477 | 636 | 1,795 | 2,893 | 3,036 | 3,166 | 3,267 | 3,384 | 3,824 | 5,574 | 5,008 | 4,390 | 3,900 | 3,945 | 3,426 | 3,085 | 51,995 |
合計 | 396 | 746 | 928 | 2,093 | 3,340 | 3,479 | 3,550 | 3,625 | 3,761 | 4,414 | 6,159 | 5,534 | 4,854 | 4,317 | 4,407 | 3,784 | 3,388 | 58,775 |
認知症介護研究研修東京センターユニットケア推進室長時
日本ユニットケア推進センター専務理事・センター長時
2003 | 2004 | 2005 | 2006 | 2007 | 2008 | 2009 | 2010 | 2011 | 2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
看護師研修 | 146 | 180 | 184 | 191 | 192 | 177 | 222 | 193 | 214 | 160 | 187 | 2,046 | ||||||
栄養士研修 | 129 | 166 | 185 | 194 | 197 | 171 | 183 | 162 | 170 | 133 | 168 | 1,858 | ||||||
じっくり 取組み |
99 (26) |
39 (12) |
50 (15) |
36 (10) |
73 (18) |
62 (15) |
92 (23) |
451 (119) |
||||||||||
合計 | 275 | 346 | 369 | 385 | 488 | 387 | 455 | 391 | 457 | 355 | 447 | 4,355 |
※じっくり取組みコース ()内は、施設数。合計は受講者数のみ。
研修開始の20年前は、ユニットケアという施設運営論に「何が何だかわからない・・・?」と頭を殴られたように悩む受講生がほとんどでした。無理もありません。今までと建物やケアの単位が代わりましたので、そこでのやり方、それに伴う理論を理解するのに時間がかかったのです。私も初めは、仲間とこの理論を実践するには何をどうしたらいいか?と何日も何日も現場実践者と合宿をして考え抜きました。とにかく、理論だけでは現場は動きません。「答えは現場にあり!」を常に念頭に、「どうしたら・・・?」きれいごとではない実行できる実践論を大事に進めてきました。
10年が過ぎるとユニット型施設しか知らない受講生が増えてきて、「なぜ、これをするのか・・・?」の理解よりも今のやり方をただ「形として理解」している現状が見えてきました。そうなると、地域や文化・時代・個性での違いよりも一つの形でしかないユニットケアになり、入居者の「本位」であったか?が問われるようになりました。
研修の在り方や普及に変化が必要になってきた、そこまで力が及んでいなかったという大きな疑問と反省が生まれました。
今では、コロナ禍という未曽有の世情と介護人材不足の深刻な状況で、改めてユニットケアが求める普遍的な理念をどう実践したらよろしいか・・・?
高齢になっても安心して暮らし続けられるケアの実践方法・運営理論が少しでも地につくために、この度、同様に施設現場で外山先生かより薫陶を受けた有吉・山崎の両氏とともにこの思いを実現するために、この団体を立ち上げました。
崇高な理念を「絵に描いた餅」にしてはならない。そのためには、まさに実践をしている現場の現状分析とヒントを基に「燃えている人でないと火は消せない」という言葉の通り、実践しているからこそ言える・出来る皆様と共に「介護をより専門性の高い職業・運営」にしていきたいと思います。そして、皆様の施設が、「あそこに行けば安心」といっていただける「地域で愛される施設」になるお手伝いを「熱意×理論(考え方)×能力(専門性)」を持ち、誠心誠意お応えできるよう努力する所存でございます。